トマト在住の青年による執筆活動

短編の小説を書いていきます。不定期・自己ベスト更新です。たまーに自分勝手な記事も書きます。

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

短編№2 ロッカー番号二十番の神様②

「もう、なんで千秋ちゃんはすぐ喧嘩するかなぁー。程々にしとかないと体育の成績落ちるよー?」 「授業は毎回出てるから大丈夫でしょ。てか、水飲みに行くくらいでキレてんじゃねえよ禿げ山田の野郎。」 待ちに待った昼休み、千秋は購買で買ってきたメロン…

短編№2 ロッカー番号二十番の神様①

砂煙が舞うトラックの上を、千秋は全速力で走っていた。肺と心臓から聞こえる悲痛な叫びを無視して、スピードを落とさず、白いラインが描くカーブを曲がっていく。 「四分過ぎたぞー!」 ゴール横に仁王立ちする体育教師の大山田から、野太い声で檄が飛ぶ。 …

自費出版を真面目に語る

つい先程、某出版社から打診がありました自費出版のお話を、お断りしました。 担当して頂いた方。私の決断が遅くなってご迷惑をおかけしたこと、非常に反省しております。また、添削、出版に至るまでの説明など、丁寧に対応して頂き感謝をしています。 だが…

無機物の声を書いてみた!~二作目~

「いやよ常盤君。出て行っちゃいや!」 以前として紙くずの中に埋まっている常磐を、私は懸命に説得していた。 「ずっとここにいてよ常盤君!わざわざ外に出る必要なんか無いわ!」 「・・・俺だって、ここから出たいわけじゃないんだ。」 暫くの間、黙って私の…

無機物の声を書いてみた!~一作目~

「お疲れ様でーす!お仕事引き継ぎますねー!」 長い長い勤務時間に終わりを告げに、掃除機が俺の前に背中を向けて置かれた。 「来るのが遅ーよ・・・。もうちょっと早く来いよ。過労で倒れちまう。」 「そう言われましてもねー・・・。僕も忙しいんで・・・。」 俺か…

無機物の声を書いてみた!~ただの説明文~

長編小説、全然進まない・・・(泣) 何なんでしょうね、話の細かい設定とか決めて、いざ書き進めて行くときに心から湧き出る、”これじゃない感”は。 かといって大して何も決めずに書いていくと躓くし、やっぱり小説書くのって難しいですね。楽しいけど。 って…

短編№1 拝啓、白猫より⑥

気づけば、自殺をした山にいた。 なんでここに来たかはわからない。けれど、神様が母さんの住む家で溶けて無くなる僕を、流石に不憫に思って連れてきたのかもしれない。 雪はもう殆ど溶けて、今僕が座っている所しかなかった。 足下の雪がしゅわしゅわ溶けて…

短編№1 拝啓、白猫より⑤

僕が猫になってから、一ヶ月が経った。 相変わらず人間の言葉を喋ることは出来ない。母さんは人間だった頃の僕の葬儀を終えたものの、僕の遺品整理や親族への対応など、忙しい日々を送っていた。スーパーでの仕事も再開していたから、なおさら忙しいようだ。…

短編№1 拝啓、白猫より④

白猫になった僕は、その足で人間だった頃住んでいた家の前まで帰っていた。 まさか、猫の足ではここまで来るのに半日かかるとは思わなかった。ずっと休み無く歩き続けて、身体はくたくただ。コーラを飲んで、ベッドで横になりたい。けれど、いくら玄関の前で…

短編№1 拝啓、白猫より③

クロが死んでから一ヶ月が過ぎた。あれから何度か、自殺未遂をした。飛び降りをするためにマンションの屋上に立ったりもしたが、身体が躊躇してフラフラとしている間に人に見つかり、その時は無言で逃げ帰った。 季節は秋から、冬を迎えようとしている。風は…

短編№1 拝啓、白猫より②

さあ、まずは僕が人間だった頃の、一つの事件を書いてみようと思う。多分、あの事件を起こしたから、僕は神様に目をつけられて、こんな姿になったんだろうから。 夏はとっくに過ぎ、秋も半分くらい過ぎたあの日、僕はいつものように昼になるまでベッドの上で…

短編№1 拝啓、白猫より①

ブログ開設初日ですが、既に書き終えていたものを投稿しようと思います。最後までお付き合い頂けると幸いです。 6/23追記:見にくかったためいくつかに分けて投稿し直しました。 タイトル:拝啓、白猫より 「シロ、ご飯だよー。何処にいるのー?」 一階…

赤い海 ~自己紹介を添えて~

我々は食べられるために生まれてきたわけではない。種を、我々の子孫を残すために生まれてきたのだ。決して、鳥や狐、そして人間の食欲を満たすために生まれてきたのではない。 だが今、まさに我々は食欲を満たそうと食らいつく人間の、透明な胃酸の海へ落ち…